ちょうどいい
午前中注文品の梱包など。午後上井草へ。井草ワニ園さんの補充。外の均一ワゴンを岩波、ちくま、澁澤龍彦や乱歩などの文庫で埋める。店内にも新装の角川文庫など。ワニ園さんでは文庫がよく売れる。今月分の清算もする。心配だった夏枯れもあらわれず、やや低調ながら平均的な売上だった。作業後、店主さんと歓談。近隣の古本屋事情など。帰宅し、補充分と入れ替わりで戻ってきた本の仕分け作業をする。夕方、外に出ると急に秋めいていた。
『中島みゆき ミラクル・アイランド』を読む。中島みゆきにまつわる短文を集めた文集。なんとなく目次を開いてみると並ぶ寄稿者の名前がよかった。谷川俊太郎、高橋源一郎、藤井貞和、井坂洋子、長谷川龍生、鈴木志郎康、天沢退二郎、黒井千次、山際淳司、ねじめ正一、呉智英、坂本龍一、細野晴臣ほか。なんてちょうどいい人選だろう。彼らがそれぞれの視点で中島みゆきについての分析・考察・感想・随想を書いている。この長さもまたちょうどいい。そうして読んでみると思った通りどれもちょうどよくおもしろい。むずかし過ぎないで、なにを言っているのかよくわかる。それに誰ひとりとしてこの30歳前後の流行歌手の天才を疑わないし見くびらないのがいい。冒頭の谷川俊太郎と中島みゆきの対談もいいし、巻末には都立足立高校の生徒が文化祭のために一線級の詩人に送った中島みゆきに関するアンケートの回答や、それとは別に高校生と大学生を対象に行ったアンケートの回答が収録されていたりして、読者を楽しませる仕掛けが行き届いている。拾いものだった。