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満足

午前中、本部会館で「吉祥寺パルコの古本祭り」最後の売上札集計に参加。3月に入ってからもよく売れていた。会期途中から試みで増量したアンティークの紙モノが今回の売場には向いていたよう。たくさんのお客様に買っていただいた。ありがとうございました。本と紙の両輪で臨み、いずれでも想定を上回る売上を作れたと思う。相場の安定した(一角文庫としては)高価な良書も、ほとんど相場というもののない紙モノも、ともに売れたことの喜びは言葉にならない。これからの仕事も、堅実であることと冒険すること、どちらもおろそかにせず邁進したい。集計を終えるころ、感動しているような落ち着いているような未経験の心境に達する。

集計後、リズムアンドブックスさんとくりから堂さんと5月に下北沢で開催するイベントの打ち合わせ。侃侃諤諤話し合うこと数十分、文殊の知恵というやつか、現状を打開するすばらしい閃きが降りてきた。僕ではなく、くりから堂さんに。さすがです。

その後、中央市で入札。近刊コミック、洋書、戦前から戦後すぐくらいまでの黒っぽい(古い)口などを落札する。黒っぽい山には筋のよい随筆や趣味本などがちらほら入っていて競合相手が多そうだった。落札は難しいかと思いながら入札したが買えてよかった。花森安治『暮しの眼鏡(昭和28年)』、三木鶏郎『冗談十年(昭和29年)』など当時ならではの魅力あふれる装丁の本が多く、早速ほどきながら居合わせた先輩古本屋たちと「かわいい!」「これもかわいい!」と盛り上がる。30代から40代の男性ばかりで。

家に帰り、一旦寝る(午前中から外出すると夜のはじめ頃に強烈な睡魔に襲われるのは避けようがない)。起きて、来月初参加が決まった「本の散歩展」の目録(開催に先立って発行するカタログのようなもの)原稿打ち込み。徹夜。2・3日がかりも辞さない覚悟でいた作業行程を完遂する。

「本の散歩展」は五反田・南部古書会館で年2回開催されている即売会で、ポラン書房番頭時代の7年間ずっとお世話になっていた。いつか参加できればと思っていたのがこんなに早く実現するとは。

午後ずっと、感動しているような落ち着いているような心境は何者なのかについて考えていた。

満足、と呼ぶと近いのではないかと思った。


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