不思議な本
1日、10月になってしまった。早いものだ。などと思っていたら日が暮れた。映画の日ということで映画を観に行く計画を立てていたのにぼおっとしていたら間に合わなくなった。ヤフオク落札品の連絡や梱包作業などする。
2日、中央市。一週間おあずけをくらった市場でじゃんじゃん入札をし、絵本一点だけ落札する。なさけない。古書会館で月末開催の「TOKYO BOOK PARK」打ち合わせ。同時に吉祥寺パルコのイベントの打ち合わせも。先方に提出していた第一希望の日程に決まった。11月23日から。祝日から始まり、土日を二回はさんで終わる最高の日程。給料日も含んでいる。参加はリズムアンドブックスさん、くりから堂さん、ハチマクラさん、一角文庫。10月半ばから年末まで催事続き。ここでがんばってなんとか年を越したい。
30日に練馬のブックオフで買った安西水丸『たびたびの旅』。移動の電車内で一気読みした。旅先で書いた旅行記的なもの、東京の飲み屋を飲み歩いた交友録的なもの、数年のあいだに書かれたエッセイを集め挿絵を添えた一冊。語り口は淡々としていて嫌味がなく、たまに土地土地の歴史が挿入されても妙に真面目ぶった様子もなくて自然でよかった。飲み屋の話は、こんないい店があるんですよ、とおススメするような書き方ではなくて、ただ著者自身が楽しんでいる様子が効いて、それでかえってどこも行ってみたくなる。下北沢「越後」、南青山「明日葉」、四谷「都」、渋谷「大漁」、青山「れとると」、日比谷「爐端」、江古田「唐変木」、京都「梁山泊」。行きたくなった店を備忘録として書いておく(98年出版の本で、刊行時点で数年前からの随筆を集めたとあとがきにあるから、これらの中にはもう存在しない店もあるかもしれない)。
この本、ブックオフで買ったときには何枚も値札が貼ってあった。ブックオフでは定期的に値下げをしており、長期間棚にあって売れなかった本は値下げのたびに新しい値札を貼られる。べたべたと値札の貼られたこの本はかなりの期間売れなかったものと思われる。こんなにおもしろい本が売れないなんて不思議なものだと思うが、アマゾンで検索するとマーケットプレイスに中古本の出品が一冊もないのはもっと解せない(「日本の古本屋」にもない)。特別珍しい出版社でもなく、著名作家の本で刊行年も若く(古本としては)、新刊販売時には相応の冊数が売られたと思うのだがどういうわけか古本市場に出回っていない。多くの偶然が重なって古本マーケットの網から漏れたのか、それともなにか特別な理由があるのか。事情を知っている方がいたら教えていただきたい。
なんといっても数ページ置きに挿しこまれる本業(絵)がいい。