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納得

9日、昨日遅くまで飲んだので休む。南部支部の入札市があったが行かない。明日10日に大量買取の予定もあり、パスした。さらに一件買取の相談があり、こちらも明日伺うことにする。私事で気がかりなことあり。あることの準備が進まず気もそぞろ。来週の日程がキツイ。

10日、買取二件。どちらも東久留米市内。一件目は段ボール箱30箱をマンション5階から下ろす。御依頼主に手伝っていただき、スムーズに進む。往復かと思ったが車に積み切れてほっとする。数十年以前から古書会館で行われる即売会などに通って買いためたものなど多いとのこと、お茶をいただき古本談義などする。これから家であれを全部一人で車から下ろすのかと思うと涼しい部屋でいつまでも古本談義に花を咲かせたい。そういうわけにもいかず、おいとまし、家に戻って無我夢中で箱を運ぶこと30回。全部下ろして二件目へ。同じ東久留米と言っても、うちとは駅をはさんでちょうど反対側という辺りでなじみがない。小高い丘になっていて閑静な雰囲気の住宅街。お宅に到着し一点ずつ拝見しながら値踏み。これはいくら、このあたりは全部でいくら、などと解説しながら値段をお知らせしていくと、だいたいご納得いただける様子で、需要なく安値にならざるを得ない本などもよくご承知のようで、細々した説明を加える要がなくたいへんに仕事をしやすい。ところが、大判は全部でいくら、と申し上げたところで待ったがかかって、なんだろうかと思うと、「これも含めてですか」と抜きだされたのが大判まとめてと自分がいま言った金額ではその一冊の査定額の半分にも満たない本。見落としていた。お詫びし、査定額を上乗せするとご満足いただけた。気に入っていた本だから、とのこと。出迎えてくださってから失礼するまで、終始穏やかだった御依頼主がこのときだけは見逃さずに指摘してくださった。助かった。後日整理中に、すでに支払いの済んだ買取品の中からこの本を発見したら古本屋としてもモヤモヤが残るところだ。お客様からの買取では、高く買い過ぎては商売ができないが、安く買い過ぎるのも気持ちの良いものではない。買い手だって、納得して買いたいのだ。

自宅の作業スペースは積み上げられた段ボールで圧迫感がすごい。

これが今回問題となった本。野上彰が詩を書き猪熊弦一郎が絵を添えた限定本『前奏曲』。序文は川端康成、跋文は中島健藏。


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