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十年後

28日、午前中所沢の床屋へ。恒例と化した「髪を切ったらプロぺ通りのブックオフ訪問」、時間が取れなくて今日はなし。後ろ髪引かれながら上井草へ行き、SLOPEさんの補充。『レイモン・サヴィニャック自伝』、ブルーノ・ムナーリ『デザインとヴィジュアル・コミュニケーション』、佐々木敦『例外小説論』、洲之内徹『しゃれのめす』『おいてけぼり』など(まごうことなき良書! なかなか売れなさそう)。一ヶ月分の売上清算。今月は平均を少し割った。先月良すぎたので揺り戻し、または夏枯れのはじまり。瞬間的な下落だろう。そうにちがいない。神田へ移動し、明治古典会。状態良好な19世紀以前の革装洋書の大量出品があり眼福。天金、三方金がまぶしい。数点入札したがかすりもしない。上京していた父母と大泉学園で落ち合ってお茶。それから上石神井の東京おかっぱちゃんハウスさんへ。唐十郎、麿赤兒、村上隆、Chim↑Pomほか旅本、音楽本など追加する。おかっぱちゃんハウスさんの7月の売上は順当。それから池袋へ行く。古書店員Tさんとビアガーデン。16階に500人詰め込まれて火事になったら助からない。

29日、寝て過ごす。飲んだ次の日はぐったり過ごすと決めたことが体にとっても心にとってもいい効果をもたらしている気がする。夕方、出荷作業。

30日、家にこもって出荷作業→各種支払い→在庫整理→市場出品荷作り。一昨日は場所が変わるたび相手を変えて何人もと会話したのに昨日今日は誰ともしゃべらない。

先月おかっぱちゃんハウスさんで買った前野健太『百年後』を読んだ。とてもよかった。深刻な感じがいいな、と思いながらいつの間にか読み終わってしまった。それに本当はもっといいところがあるのに、なんだかわからないと思いながら読んだ。独り淡々黙々と読んで、読書、という感じ。でも、十年前ならこんな本はおそろしかったような気がする。一部ブログの記事を収録している『百年後』は著者の行動と心の移ろいの記録のようでもあり、20代のはじめの自分にはここに書かれているような行き方はただの憧れとか未知だったからだ。おそろしいというよりも、ただピンとこないだけかもしれない。どちらにしても読み切れないで投げ出したのではないかと思う。それが、いまの自分の情況にはよくなじんだ。おもしろさは共感だけに宿るものではないだろうけど、この本を呼吸するように読んだのは読んでいる間全然反発を感じなかったということも大きい。読み終わって、でも十年後ならどうだろうか、と思った。


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