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中央市会大市

20日、中央市会大市。大市は各市会が年に一度行う特別に大きな市。なかでも中央市の大市は抜きんでて巨大で、東京古書会館の地下1階から地上4階までが出品物で埋まり溢れた品物が階段にも隙間なく並ぶ。

出品自体が大量で、加えて大市を当て込んだ稀覯本の出品も多く、それらを目指して普段東京の市場にはお越しにならない地方の古書店もぞくぞく集う。手ぶらでは帰れない地方の方々の入れる札は強気なものになりがちだが、それでもひとつの出品物について落札者は一軒なわけで、必然的に落札額はお祭り価格となる。いつもの感覚で入札していてはほとんど買えないのが当り前なのである。

天井まで積み上げられた夥しい本にほとんど酔いながら入札する。どんどん入れる。全部買えたら破産するかもしれないが気にしない。適切な額で入札したものが全部買えることなどありえないのだ(そんなバカな、そんな考えではオマエ遠からず破産するぞ、と何者かが耳元で囁くかもしれないが気にしない)。結果、超貴重書や良書の口が高額で落札されていく間隙をぬって、まあまあの口をまあまあの点数、まあまあの金額で落とし、まあまあの出来であった。大市でまあまあの戦果を挙げたということは僕にとっては快挙なので、こころ満たされる。

21日、午前中吉祥寺でパルコ古本祭りの売上集計。紙モノの売上にずいぶん助けられた。くりから堂さんと代々木八幡のリズムアンドブックスさんへ。5月開催予定の下北沢のイベントの打ち合わせ。のち、本部会館(東京古書会館)へ行き、大市落札分の整理と一部を持ち帰る。1621年刊、フランスの法律書など。取扱品の最古刊行年記録を更新。

夜、古い洋書を買い、売る機会に恵まれている現実についてしみじみ考える。数百年前のモノに触れていると胸があたたかいもので満たされる。嗚呼、ヴェラム、モロッコ革、羊皮紙、背バンド、マーブル装…(恍惚)


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