僕とオトンとなんとか

21日、父母上京し、父とスカイツリーに昇る。よく晴れて富士山までくっきりと見渡せる。富士山をバックに父の写真を撮ろうとすると屋内外の明るさにギャップがあり過ぎてうまく撮れない。父の笑顔が見えて富士山が真っ白に飛ぶか富士山がくっきり見えて父の顔が真っ暗になるかの二択を迫られる。父を真っ暗にする。スカイツリーでは雑誌「りぼん」とのコラボ企画の最中で、エレベーター内や展望回廊に少女マンガのコマや吹き出しが散乱。壁一面に歴代りぼんの表紙が並ぶコーナーなどあった。この展示を見たければスカイツリーに昇るほかないのだが、これを見るためにスカイツリーに昇る人はいるのだろうか。東京タワーならまだしもスカイツリーに昇ることはまだそこまで身近でも気軽でもないように思える。地上450メートルの展望台からの眺望という人生初の経験に感動するのに精一杯のおのぼりさんのなかにりぼんの展示に目を留める人は多くないのではないか。りぼんでなくともこの場所で開催する展示なら相当の気合が入っていなければ簡単に無視されて意味がないし、逆に十分に作り込まれていればスカイツリー登頂体験を目当てとしている客の目的意識がぶれるし、どちらにしても時期か場所が悪いように感じられたのだが、どうだろうか。こんなことを言っている僕が時代おくれなだけで、スカイツリー登頂がとっくに陳腐化し始めているのだとしたらすみません。(もしかしてすでに一度昇ったことのある人々の再登頂を狙った企画なのか? だとしたら数時間待ちも辞さない初登頂の人々に混じって行列に並ばせるほどの魅力がりぼんにはあるということだろうか)

今日の出来事を下敷きにした「東京スカイツリー」なる小説を書け、という天啓にうたれる。映画化待ったなし。僕の役はオダジョーで。父は樹木希林でいい。

22日、調布パルコの搬入日。朝から値札付け→しばり。16時過ぎに終わり、仮眠して18時に車を借りる。調布用の商品を積み込んで一旦吉祥寺パルコへ。古本市の偵察と棚整理と搬入時に余ってしまった什器の引き上げ。古本市は初日からずっと盛況のようで、この日も1時間弱の作業中お客様が絶えることはなかった(あまつさえレジには会計待ちの列まで!)。こころはげまされ、調布パルコに向かう。搬入作業。5階のリブロさん店内で備え付けのスチール棚に陳列。普段自前の什器で棚作りをするのが当り前なので棚をあてがわれるとかえって混乱するという新発見。混乱のほどけぬうちに陳列を終える。途中から、補充に来たときに時間を置いた目で眺め手直しすればいい、という気持ちに。東久留米に戻り、車を返す。あの日ドトールで組んだ最高能率スケジュールが一切のよどみなく進行した一日。24時前に独り中華屋で祝杯を上げる。充実感みなぎる。

調布パルコには中央市で仕入れた大量の猫関連本を並べました。期せずしてにわとり文庫さんも猫特集を組んでいて、催事スペースの大きさ(小ささ)に似つかわしくない猫本の充実ぶりです。新刊書店内での開催ということもあり、現在新刊流通している現行品は避けようと古本屋側で申しあわせましたので、並んでいるのはいずれも古本でなければ手に入らないお猫様方です。全国の猫狂いの皆様、千載一遇の好機をお見逃しなきよう。

23日、午前中いっぱい寝る。のち、中央市。新しい出張販売2件、会期の長い催事2件、どこでも売れ筋であり、先方からリクエストされてもいる絵本。意地でも買う、という熱い気持ちをひっさげ、今回は厚い予算もひっさげてのぞむ。ちょうどよい出品あり。カバー付きのきれいな絵本100冊超の山である。かなりの高値をぶっこみ、思惑通り買った(買ってやった!)。ほかの業者が不思議がるほどの落札額かもしれない(僕としては十分に商売になると見込んでいる金額である)。つまるところ、市場で人気の集中する出品を落札しようと思えばこういう勝負をしなければならないのである。売れる売場があって商品が足りない業者が最も落札者に近い。ごく単純な需給バランスのはなしである。人気の出品物にはいつだって今回の僕のような立場の業者がいて、ほかの業者には到底謎であるような高値でさらっていく。それは自然なことで、もしもこうした出品物をもっと多く落札したいと望むなら、もっとたくさんの売り場、売り先、お客様を抱えるほかない。いちばん売る人がいちばん買う人なのだ。

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