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古本屋たち

中央市。出品多く、自分向きのものも多数あって、ぐんぐん入札。ぐんぐん入札。入札ハイになる。入れてはならない高額で入札しそうになる。ぐんぐん入札したからといってぐんぐん落札できるわけではなく、結局平常運転程度の量を落札。落札総額も平時並み。現状ではどんなに高く入れたと思っても買えないものは買えないということ。落札品のグレードをもう一つ上げなければこの先の商売はつらいだろう。扱う商品にしろ金額にしろ自分のスケールをまずは大きくしなければ。

会館の積み下ろしスペースの車両入出許可証をつくりに総務に行くと、先日の南部フリ市出品の売上が来ていた。思いがけない高額。平静をよそおって受け取る。予想の3倍以上。とはいえ手放しでは喜べない。予想がずれたぶんだけ市場の相場、本の価値に疎いということの証左でもある。でもなにがそんなに高かったんだかおしえておじいさん!

黒沢書店さん、玉椿さんにお会いする。ポラン書房出身古本屋揃い踏み。黒沢さんに「3人が集まったらどうなるかやばいね煙でも出るんじゃない」と言われる。出なかった。

独立後初めてお会いする方数名にご挨拶する、「屋号、いっこく堂じゃなかったんだね」とからかわれる、やや衝撃のあるニュースを聞く、など。市場には商材を求めに行くが、人に会いにも行くのだと思う。

帰り、楽市のDMを渡しにポラン書房に寄る。ポラン書房を離れて外の目で見る棚は一段と力を増している。圧倒される。店長が以前以上にこまめに棚に手を入れているとのこと。都心でも中央線沿線でもなく大泉学園にこの古本屋があることのすばらしさ、あり続けるためのたゆみない努力の凄みを肌で感じる。周辺地域にゆかりのある方々の著作を集めた「大泉ゆかりの人々」棚が復活していた。一時撤去時も「もうなくなったの」と訊かれることたびたびで、お客様の認知度も高い棚だった。街の古本屋としての棚づくりに感銘を受ける。

本日の中央市の収穫。竹鶴政孝『ウイスキーと私』、H・A・レイ『じぶんでひらく絵本』、プリーモ・レーヴィ『周期律 元素追想』など。レーヴィの含まれていた外国文学の口は下札(複数通り書ける入札額の最安値)だったが、ほどいて考えればやはり安く買えたのではないかと思う。市場を信用するのは大切だけど、信じすぎてもいけない。そのときどきで安かったり高かったりするのが市場。自分の基準も持たなければ。レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』は自家用にまわした。読もう。


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